民主党政権は悪夢発言と、空回りの国会の空疎な現状認識

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民主党政権は悪夢発言と岡田議員の質問

 なぜ激論に?「民主党政権は悪夢か」から経済・原発論争に 安倍vs岡田13分の全詳報(ヤフー)で、詳報が報じられたので全文目を通しました。端的に内容を申し上げますと、先の自民党大会で安倍総理が「民主党政権は悪夢だった」と発言したことに、岡田議員が噛み付いたというものです。

 安倍総理の主張は「経済政策について主に申し上げた」であり、岡田議員の主張は「その前の政権、自民党政権の重荷を背負っての運営だった」というものです。安倍総理は失業率をやり玉に挙げて民主党政権時代の政策を批判し、岡田議員は原発事故の原因についてやり玉に挙げて、自民党政権時代にその原因が存在したとやり返しております。

 最初に結論だけ述べますが……バカバカしいことこの上ありません。経済だけに話を絞るにしても、この議論の中にはリーマン・ショックという言葉が一言も出てこないからです。なぜこの言葉が出てこなかったのか? について、検討をしてみたいと思います。

民主党政権時代は誰がやっても失業率は高くなる

 リーマン・ショックが確か2008年の10月頃、民主党政権が2009年の8月の終わりに成立しました。リーマン・ショック当時の麻生政権の、与謝野財務大臣すら国会答弁では「ハチに刺されたようなもの」と応答しておりましたが、その後にそんなものじゃすまないことが判明します。

 よって麻生政権は大型補正予算を3本、自身の政権で通したというわけです。ただし……規模が足りたのかどうか? は検討が必要でしょう。

 民主党政権になりまして、大型補正予算の一部は削られたと記憶しておりますし、コンクリートから人へというスローガンのもとに、公共事業も削られました。確かに民主党政権の経済政策は稚拙と言わざるをえませんし、批判されるべきものでしょう。

 しかし――リーマン・ショックからの回復トレンドは2010年が起点であり、その後の2012年末からの安倍政権の政策、消費税増税で2014年にそのトレンドがやや低調になっています。安倍総理は自身の経済政策が失業率を低くしたと思っていますが、2010年からのトレンドがさらにあがったということは”ない”のです。

 つまりどういうことか? 民主党政権時代に安倍総理が総理であったとしても、高い失業率は抑えられなかったし、逆に2012年以降の安倍政権の時代が民主党政権であっても、現在と同じ結果が出ていたであろうということです。

 経済政策に関して民主党政権も安倍政権も、目くそ鼻くそ、五十歩百歩なのです。現に――民主党政権時代より、現在の安倍政権のほうが公共事業費がおしなべて低め、というのが現実なのです。安倍政権もまた、コンクリートから人へを継承しているのです。

なぜリーマン・ショックという言葉が出てこないのか?

 岡田克也議員も、安倍総理もまるでなかったことのように、リーマン・ショックという単語を出しませんでした。麻生政権~民主党政権の経済を語る上で、絶対に外せないキーワードのはずなのですが、彼らの議論の俎上には登らなかった。

 なぜか?

 リーマン・ショックを持ち出すと、グローバリズムを否定する議論になってしまうから、ではないか? と私は診断します。

 真剣に議論するとなると、2008年10月以降の日本のGDPの下落や失業率などの原因は、全てアメリカ発のリーマン・ショックにあり、それまで進めてきたグローバル化が日本に対しての影響を大きくしたと解釈できます。

 経済問題にリーマン・ショックを持ち出すことは、グローバル化の否定に繋がりかねないわけです。

 安倍総理は現在、急激な日本のグローバル化を進めていることはすでに周知の事実です。2度の入管法規制緩和による移民拡大で、日本は世界第4位の移民大国になり、漁業法改正、農協改革などで大資本の食への参入を規制緩和し、水道事業民営化で水を外資に売り渡す可能性すら示しました。2014年の消費税増税の増税分のうち、8割は国債返還に使用されて残りの2割が僅かに、社会福祉に薄く広く使われただけでした。

 一方で岡田克也議員も、やはりリーマン・ショックに触れなかったのはグローバル化が、基本的には正しいものだという認識に立っていたからではないか? と思われます。菅直人総理の突然の「平成の開国」発言などは、まさに民主党政権もグローバル化を目指していたという証でしょう。

無能な働き者より、無能な怠け者政権こそが必要だ

 民主党政権はいわば無能な怠け者でした。プロパガンダが下手くそで、世論を操ることもうまくない。政策は現在の安倍政権のほうがひどいかも知れません。実行力に乏しく、良く言えば熟議であったともいえます。

 余談ですが私は「決められる政治」なるものを危険だと警戒しています。民主政治は様々なフィルターを通した「殆どが賛成するもの」だけをやっていることが、民主主義の利点なのです。決められない政治こそ、民主主義的な政治といえます。

 逆に安倍政権は「決められる政治」を標榜し、グローバル的なものに関してだけ、無駄に実行力を発揮します。またプロパガンダも非常に上手で、右派や保守層なんかは最近まで全力で安倍政権を支持しておりました。プロパガンダに乗せられていたわけです。猛省を促したいし、なぜそうなったのか? の総括が必要でしょう。

 一般国民もまた、安倍政権のスキャンダルのたびに支持率を一定は落とすものの、問題の本質を見据えようとせずに、いつの間にか支持率の回復が何度も起こりました。

 この無能な怠け者の民主党政権と、無能な働き者の安倍政権のどちらがより危険なのか? 論ずるまでもないでしょう。緊縮財政とグローバル化という経路が転換できないのなら、せめて無能な怠け者に政権の座についてもらうべきなのです。

 ――もっとも、積極財政と保護主義という路線への転換が”理想”なのは、言うまでもありません。

 冒頭の安倍総理と岡田克也議員の議論で、リーマン・ショックというキーワードが、まるでなかったかのように扱われているのは、日本全体を多く認知不協和を表現した議論と解釈可能です。この議論に対する評価は、与党、野党ともに”現実が見たくないのだろう”とするよりほかありません。

 現実の見えなくなった日本はどこに行くのか? 常識的に物事をわきまえていれば、その帰結は明白なのです。

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阿吽

>一般国民もまた、安倍政権のスキャンダルのたびに支持率を一定は落とすものの、問題の本質を見据えようとせずに、いつの間にか支持率の回復が何度も起こりました。

結局、このどうしようもない自民党政権を支えているのは誰有ろう、この、日本国民ということですね・・・。

安倍政権の売国政策は、直接的にしろ間接的にしろ・・、結局は、現在の国民の判断によって進められているというわけです・・。

 この岡田さんと安倍さんの論戦で、1つそうだろうなと思ったのは・・、安倍総理が岡田さんに『なんで民主党という名前を変えたんですか?』・・ですね・・。

まあ、それ以前にこのやりとりそのものが、ヤンさんご指摘のとおり話にはならないわけですが・・・、別に安倍総理を擁護する気など毛頭ないですが・・、旧民主党の面々も、大いに猛省すべきでしょうね・・。

このどうしようもないくそったれな状況下におちいってなお、まだ、立憲民主党(を含んだ旧民主党勢力)よりも、自民党の方がマシと国民に思われているという、その体たらくと現実を・・・!


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