米露のINF条約破棄でどんな影響があるのか?世界情勢とその行方

INF(中距離核戦力全廃条約)を米ロが破棄した

 どうも報道によりますとINF条約を米露が破棄したようです。INF条約とは何でしょうか? 中距離核戦力全廃条約と日本語では訳されまして、500~5500kmの射程を持つ核ミサイルの保持を禁じたもの、という説明が一般的です。

 しかしこのINF条約ですが、地上の配備ミサイルだけが適用範囲でして、戦略原潜や艦船、航空機などには当てはまらないのです。今どき地対地ミサイルなんて需要があるのだろうか? と思わなくもありません。ただし、地対地ミサイルの良いところはコストが安い、建設費もそこまで高くないというところでしょうか。

 このINF条約は米露の2国間での条約であり、最近台頭する中国はこの条約に縛られないので、アメリカとしては自国が不利になることを避けたかったのではないか? という主張もありまして、誠にごもっともな話だと思います。

米露の接近と蜜月

 前々から当ブログ(旧ブログのほうで)は中露が接近していると書いてきました。中国にしてもロシアにしても主権国家であり、アメリカンナイズされることを嫌う傾向が強く、敵の敵は味方理論もあり、接近するのは必然であったといえます。

 中露の急接近は、ロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を一方的に併合したことがきっかけだ。欧米から厳しい経済制裁を受けたロシアは、軍事・政治両面で従来の政策を変え、最新鋭地対空ミサイル「S400」、最新鋭戦闘機「スホイ35」の中国への輸出を認めた。それまでロシアは、露製兵器を中国が無断複製することに立腹、最新鋭武器の輸出を制限していたが、方針を転換した。

 軍同士の関係強化も図る。両国海軍は15年の地中海での合同演習を皮切りに、南シナ海やバルト海で合同演習を続ける。機密情報の共有も進めているとみられ、18年にはロケットエンジンの共同開発も決めた。宇宙空間での米国の圧倒的優位を崩そうと、中露両国は衛星攻撃兵器(ASAT)の開発などに注力している。強力なロケットエンジンが手に入れば、ASATの実現が容易になる。

 首脳同士も蜜月関係を築く。プーチン露大統領は昨年5月、中国メディアに「ウオッカをあおりながらソーセージを一緒につまんだ。私の誕生日をともに祝ってくれた首脳は彼だけだ」と述べ、中国の習近平国家主席との強固な信頼関係を自慢した。両首脳は20回以上も会談。習氏が最も多く訪問している外国の首都はモスクワだ。

米露さらに冷却 中露は関係強化へ「一緒にウオッカ」首脳同士も蜜月 – 毎日新聞

 どちらの国もアメリカに対抗する、という目的では一致しているわけですから接近は自明でありました。これに対してアメリカはINF条約の破棄を決めた、という主張は非常に説得力があります。

世界情勢を俯瞰的に見渡す

 現在の世界を俯瞰的に見渡してみますと、なかなか興味深いことが分かってきます。まず日本周辺では中露が接近し、そしてその覇権に北朝鮮は組み込まれており、韓国も将来的にはそちらにつくだろうと思われます。韓国については……経済、軍事などの面からすでに中国と密接であり、在韓米軍の撤退などという観測も出ている次第。

 欧州はEUという仕組みですでに凋落が激しく、またアメリカとの関係も少々変わってきております。イギリスはハードブレグジッドになりそうですが、アメリカが手を差し伸べる気配は現在ありません。またEUにしてもトランプの保護主義的な貿易政策に反発をしております。

 そして当のアメリカは凋落しているからこそ、強硬な手段で様々に巻き返そうと必死になっている、と解釈可能です。もっとも……巻き返せる可能性はあまり多くはないですが。

 日本はどうか? ぶっちゃけていえば、あまりにも世界情勢と世界の趨勢を読めていないのではないか? という懸念がふつふつと湧いてきます。

 現在、ロシアと北方領土問題を協議していますが、下手をすれば2島返還すらなく平和条約の締結、つまり領土の帰属の決定がされるという展開すら、あり得る状況です。以下のニュースからもそれが、ありえない話ではないとご理解いただけると思います。

首相、日露交渉の方針明かさず ロシアの硬化懸念? 「北方領土は日本固有」と表現せず – 毎日新聞

 政府は北方領土交渉を「前進した!」と言いますが、そもそも北方領土を返還したら、そこに在日米軍基地が出来たなどというのは、ロシアにとってはまさに悪夢。そして日本政府はそもそも、在日米軍基地に関する決定権を持っていないので、北方領土の2島返還すら難しいのが現状なのです。

 話がそれました。世界情勢を俯瞰的に見た場合に、アメリカは孤立主義に走っているように見えますし、日本はアメリカにひたすらついていくが、世界はもはやそういう情勢ではないという事になりませんでしょうか。

INF条約放棄の影響は?

 話を戻しましょう。上述したような文脈で世界情勢を俯瞰した場合、米中露の軍拡競争が幕開けるのではないか? と私は予想します。第二次世界大戦戦勝国による、対立の時代になるのではないでしょうか。

 とはいえ、軍拡競争は財政出動を必ず伴うために、経済にとっては悪いことではないかも知れません。この対立が深刻化していくと、日本においても安全保障議論が燃え上がるかも知れません。

 しかし……太平洋戦争前の日本ならともかく、現在の日本では対米従属と依存を深めるだけの結果に終わる可能性が高いと思われます。

 上述した解釈は、グローバリズムが行き過ぎると、国際関係に遠心力が働くという原理があるという前提でのもとです。グローバリズムの行き過ぎは、リーマン・ショックなどの金融危機を世界中にばら撒き、経済成長の果実がなくなった世界での近隣窮乏化政策を余儀なくさせる働きがあるのです。それが今回のトランプの貿易戦争であり、中露の接近であるのでしょう。

 日本はアメリカについて行ったら、良いことがあるのか? と問われると、上述しましたとおりにアメリカは近隣窮乏化政策を取る可能性が高いので、つまりは日本は貧乏くじばかりを引かされる可能性が高いと思われます。

 日本、ということでINF条約破棄の影響を考えると、対米従属の深化、アメリカの近隣窮乏化政策等々。あまり良い影響はないだろうとしか解釈できません。

 日本は危機感を持って、富国強兵政策へと歩を進めなければならないでしょう。……まあ、すぐ転換できるようなら苦労はないのですが(笑)

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金 国鎮

中露の関係を見るといつも戦前の満州国を思い出す。
満州国を統治していた関東軍は何故それほどにまでソビエトを敵対視していたのだろうか?
彼らは又国民党も共産党の八路軍も同様に敵対視していた。
その理由は恐らく政治的なものでない。

中国とロシアは中ソ国境紛争で一度は戦火を交えたが今はよきライバルだ。
プーチンは数年前の読売テレビの独占インタビューで中国を最も信頼している国だと
明言した、これは習近平も同様だ。
中国の中央アジアに対する政治行動に対して欧米諸国は何やかや言う。
私は欧米諸国に根本的疑問を持つ。
彼らは中央アジアに何を求めているのだろうか?
中央アジアの民族に一番の関心を持っているのはロシアだ。
最近、中国は中央アジアのカザフ系民族がロシアのカザフスタンに移民することを許した。
恐らくロシアから中国に何らかの政治的圧力が加わった。
中国はそれを受け入れた。
中ロの蜜月の時代が続く限り中国はロシアに譲歩せざるを得ない。
ロシアに信仰の自由が復活したのは大きな変化だ。

第二次世界大戦でロシアも中国も独力で戦った。
彼らは大きな犠牲者を出して勝利したがそれに対して欧米諸国は何もいわない。

阿吽

アメリカは日本に、「HDR(米本土防衛レーダー)」の配備を要請するそうですから・・、国防面においてまだ、日本国は利用価値があると思われているわけです。

ですので、日本国は財政出動をして富国強兵をし、そして、米国と対等の軍事における同盟関係を構築して、目の前の中露という2大大国に、日米(プラス台湾・東南アジア諸国、もしくはインドも巻き込めれればなあ)で向き合わなければならないのですが・・・、グローバル(外貨頼み)の安倍政権では、米国・中国双方に、おいしく国富を吸われる事態にこのままではなりそうです・・。

国富を吸われるだけならまだしも、米国と中国に、おいしく2分割されそうないきおいです。

過去の歴史で例えれば・・、琉球王国や、大韓帝国、分割前のポーランドや・・、もしくは東ローマ帝国と東ゴート王国との戦争、収奪、さらにはその後におこったランゴバルド族の侵略によって滅びることになってしまったイタリアのSPQR(ローマの元老院)のように・・。そんな運命を、日本国はたどるのかも、しれません・・。

二国に隷属する国家の命運なんてものは・・、それこそたかが知れています・・。