東アジア覇権を確立する中国と大義名分

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米朝首脳会談の中止に伴う中国のプレゼンスの増大

 先週の土曜日の私のブログの記事で、米朝首脳会談中止に伴う各国の反応をご紹介しました。

より多く負けたのはアメリカか?米朝首脳会談の中止と各国の反応

 どうも米朝首脳会談中止でより多く負けたのは、じつはアメリカなのではないか?と思えてなりません。構図としては「核実験場を廃棄し、アメリカ人を開放するという行動を示した北朝鮮」と「口だけで北朝鮮を騙して行動させ、一方的に首脳会談を中止したアメリカ」という、中国が描く構図は大義名分としては文句のつけようがあまりない、と思えるのです。

 そしてアメリカは米朝首脳会談に尽力した韓国の面子を潰してしまったのはもちろん、上述のような大義名分を掲げられると外交交渉は不利になる可能性がある。

 余談ですが冒頭で取り上げた記事の中で引用した首相官邸からの安倍総理の、米朝首脳会談中止に対する発言はいつものごとく「国際社会と連携して解決する」というものでした。佐藤健志さんが指摘していることですが、日本は「国際社会=アメリカ」という認識があるようでして、今回のことを見てもその解釈は正しいのだろうと思えます。

 なにせ中国、北朝鮮、韓国といった当事国の”国際社会”がアメリカに反発している中で、アメリカに対して一言の批判もなし。

 「米朝首脳会談へ向けて認識を完全に一致させていた(進めていた)©安倍総理」にもかかわらず、「一方的なアメリカによる中止」に対してなぜ批判しないのか?「国際社会=アメリカ」であるのならば、なるほど納得のいく話です。

 閑話休題。

 北朝鮮がアメリカに対して求めていたのは、朝鮮半島からの在韓米軍の撤退が最重要項目でしょう。もちろんその他、経済支援などもあるのでしょうけれども。

 そして今回、米朝首脳会談の立役者となるはずだった韓国は見事にアメリカにはしごを外された形でありますから、アメリカに対する不信感が芽生えたとしても不思議ではありません。

 そして韓国経済は中国経済に依存しているし、もはや韓国が中国に接近しないという理由はない。またアメリカに一方的に中止を通告された北朝鮮としては中国に接近するしかないし、また中国もそのように動いている。

 であれば状況としては非常に中国に都合の良い、まさに千載一遇のチャンスと言えるでしょう。これを中国が逃すはずはない。大義名分まで「アメリカが用意してくれた」のですからね。

 とすると在韓米軍の撤退、東アジアにおける中国の確固たる覇権の確立は目の前まで迫ってきているかもしれないわけです。

日本を取り巻く状況

 今後朝鮮半島が融和路線に進み、中国の覇権確立と並行するとするのならば・・・・状況としては2つ考えられると言えましょう。1つはアメリカの凋落は周知の事実ですので、中国の覇権に飲み込まれる可能性。

 これはアメリカが東アジア地域のプレゼンスを手放すという判断をした場合に、日本は主体的に何も出来ずにそうなる、というわけです。だって備えてませんしね?

 もう1つは脳みそがはちみつ漬けで出来ているのか?というほど甘い想定ですが、アメリカと中国が対立路線に入って、かつての東西冷戦の再現となること。もしかしたらアメリカは東西冷戦のときと同じく、日本に対して寛容な外交を展開するかもしれないという、非常に甘ったるい期待にすがる想定です。

 私としては前者に傾く可能性が高いと判断をしております。外れたとしても、厳しい想定をしておくことのほうが肝要でしょう。

これからの日本のリスクと不確実性

 日本における将来的なリスク、不確実性として挙げられるのは「南海トラフ巨大地震」「世界的な金融危機の勃発」「核保有国に囲まれた地政学的リスク」「中国の覇権への対応」等々でしょう。それら以外にも無数に存在はしますけれども。

 南海トラフ巨大地震に関しては、現時点ではほとんど対応が進んでいないのが現状でしょう。藤井聡内閣官房参与が提唱した国土強靭化計画も平成30年度の予算でようやく3~4兆円に過ぎない。(これでもかなり、進んでいるほうだとも言えますが・・・。)

平成30年度 国土強靱化関係予算案の概要(内閣官房)

 世界的な金融危機というのはまだあり得る状況でして、簡潔に書きますとグローバリズムと各国の緊縮財政が進むほどに金融危機のリスクというのは上がっていくという構造をしております。これは歴史的、論理的にももはや証明された事実として扱って構わないかと思います。

 そしてその影響を最小限にしようと思うのならば、日本はグローバリズムと反対に舵を切る必要があるのですが、現在は絶賛グローバリズムに邁進中というわけでして、大変に大きな打撃を被る可能性が存在します。

 このように脆弱性がある状態で、周りは核保有国ばかり。中国も東アジアにおける覇権を確立させようとしており、また当のアメリカは凋落の一途と、そして今回の米朝首脳会談の中止というチョンボの可能性が高いことをしてしまった。少なくとも中国の覇権の確立の加速度を早めたと解釈可能です。

 その中で日本自身が将来のリスクに対する備えが不十分すぎる状態である。これが何を意味するのか?

 例えば世界的な金融危機が勃発した際に、中国は財政出動で乗り切りさらに国力を伸ばすが、日本はプライマリーバランスに固執してGDPを減少させ、さらに国力差を拡大させるといった事態が想定されるわけです。南海トラフ巨大地震にしても同様でしょう。

 これで中国の覇権に抵抗力を残せると考えるほうがおかしくて、率直に表現するのならば非常にマズい。さらにマズいのは、日本自身が「マズいと思っていないこと」でしょうか。

 会社とかでも非常にマズいミスをしたにもかかわらず、ポワーンとしている人って1人くらいはいるかもしれませんけれども、それと同じような状態なのがマズいわけですね。

 解決策は1つで「財政出動をして国力を高め、それに伴って防衛費も高める」「核武装の議論をいい加減に真面目にやる」くらいしかないのですが、周辺諸国が核保有国ばかりであるにもかかわらず核武装議論は盛り上がらないし、財政出動もされていない。なんというか・・・国家としての本能が薄れてんじゃねーか?なんて思ってしまいます。

 1300年間日本が存続したからといって、これから先も存続するかどうか?とは全く別問題であると思うわけです。

 いい加減に真剣に考えないと「マズいなぁ・・・」と思いますが、同時に「これまで不真面目だったのが、急に真面目になるわけがないな」とも思ってしまう次第。

 まさに私、「マズいなぁ・・・」の無限ループにハマっている昨今であります。

 無限ループって怖くね?(´・ω・`)

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