政府支出増加→増税を繰り返す政権の心理-プライマリーバランスというフィクションを暴く

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平成31年度予算は101兆4千億になる予定

 安倍首相「速やかに予算成立を図り、経済を成長軌道に」(産経)によりますと平成31年度の予算案は101兆4千億円になり、平成30年度予算案の97兆4千億円を4兆円程度上回るようです。そして平成31年といえば消費税増税も予定されておりまして、文脈的には「政府支出を増大させて、その後に増税で回収する」というスキームになっております。

 まずこの文脈が成り立っている可能性は非常に高いと思いますが、この文脈による政府の心理状態とはどのようなものなのか?を推論していきたいと思います。しかしこの推論を述べる前に、「政府支出によってお金は創造され、徴税によって消滅する」という意味をご理解いただかなければなりません。(民間でも銀行によって創造されますが、それは脇に置きます)

 何故か?すごく端的かつ簡単にご説明差し上げます。貨幣は「負債」であり、負債が存在するからこそ経済が存在するわけです。貸し借りと申し上げてもよろしいでしょう。貸し借りと生産と消費の関係性が経済であり、仮に「消費」がゼロになれば経済は成り立ちません。同じくイコールで負債がゼロになっても経済とは成り立たないものなのです。(ちなみに民間、政府、個人の負債が全てゼロになったとすると、市場に流通する貨幣も預貯金もゼロになります。負債こそが貨幣を「創造している」と論じられる所以です。)

 もう少しわかりやすく申し上げますと、貸し借りの「借り」が全体的にゼロになれば、それはイコールで貸しもゼロになることを意味するわけです。しかも「貸し」は「借り手」がいないと100%発生しません。これは銀行が又貸しをしているのではなく、「返済能力のある借り手がいるから、銀行が貨幣を創造できる」ことを意味します。

 ちなみに政府は日銀を含む統合政府ですので、いくら国債を発行しても円建てである限りは無限に発行が可能です。国内最大の「借り手」であり、しかも破綻リスクはありえない。というわけで「政府支出」とは「政府が借りる行為」でもあるのです。当然ながら貸しは「国民」が作るため、国民には仕事と通貨がセットで出回るというわけです。(政府支出額や国債発行額を制約するのは、この意味において「国民が仕事をこなせない程に仕事が大量にある」という供給能力だけに依存するわけです。つまり需要>供給の過剰なインフレのみが制約となるわけです。そしてデフレ時においては政府の需要「創出」=政府債務の増大が重要になるというわけ。)

 では上記を踏まえた上で「政府支出の増加→増税による回収」とはどのような文脈なのか?これは民間企業における投資と回収の理論とほとんど一緒なのではないか?と思うわけです。民間企業は通貨発行の主体ではないので、当然ながら負債を気にしながら経営をしなければなりません。

 しかし政府の行動の心理までが「投資→回収」になるということは、永遠にデフレ付近をさまようことを意味します。なぜならば、我々日本国民が使用している通貨は「政府支出によって創造」され「徴税によって消滅」するのですから。もう少し端的にいえば「延々と借りのバランスが増えない」のであり、それは「延々と需要が増えない」ことを意味し、そして「延々と仕事が増えない」ことも意味します。つまり「(全体的な)借りが増えない」のだから「貸しを作れない(仕事が増えない)」のであり、そして「貸しを作った際に発生する債権(つまりお金)も増えない」ことを意味します。

 なぜか?政府が民間企業のごとくプライマリーバランスやら借金総額やらを気にしているからでありますね。つまり大臣や政治家はもはや「ビジネス職業」であり、彼らは「株式会社ニッポン」のCEOと重役気取りで政治を行っていると見てよいのではないでしょうか?

プライマリーバランスの本質的間違い

 プライマリーバランスの本質的な間違いとは「政府の財政を家計簿で捉えている」という部分です。なぜ家計簿的に捉えるのか?というと「政府支出は税収によって支えられている」という誤った認識をしているからです。

 論じてきました通り、政府支出とは内債である限り無制限に可能です。なにせ政府機関である日銀がお金を刷って国債を引き受けるわけですが、その通貨発行権は本質的には政府が持つものであるからです。自分で書いた肩たたき券を相手にあげて、肩をたたいてもらうのが政府の仕事なのですよ。肩をたたいてもらうことで「お金(と仕事と需要)が創造される」のです。そして徴税によって肩たたき券を回収することで「貨幣が消滅する(使われなくなる)」というわけで、政府という「仕組み」を「家庭や企業と一緒くたに考える」というプライマリーバランスは、百害どころか千害以上はあって一利(一理)もなしであるというわけです。

 政府は自分の発行した肩たたき券を(市場に)流通させるために、もっとたくさん肩をたたい(仕事を発注、需要を創出)てもらわなけりゃならないのですね。

すでに凋落している日本

 偉人だったかと思いますがの言葉によると「政治は高度な道徳的行為」のハズだったのですが、現在では「名誉、権力、お金が手に入るビジネス的役職」に成り下がっていると言えないでしょうか?これはグローバリズムの進行による道徳の破壊とも合致しておりまして、非常に由々しき事態なのですが、もはやこれを止める術すら我々国民は持っていないのか?というほどに、国民自身もグローバリズム的な価値観に染まりつつあります。

 10年後、20年後に確実に日本はこのままですと衰退をしております。いやいや、わずか8年後には日本の橋の44%が老朽化した築50年以上になるのにもかかわらず、指を加えてみているしかない国家にすでになっているのです。

 水道事業の民営化も、その理由として語られるのが「水道管の老朽化で更新が追いつかない」ですぞ!かつてそれらを一気呵成に作った日本と比べれば、それを修繕することすらできない日本にすでになっているのです。一人ひとりが何かをしなければなりません。

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